ご挨拶

会長挨拶

 
会長 安西祐一郎anzai
日本学術振興会顧問・学術情報分析センター所長。元慶應義塾長、元中央教育審議会会長、元日本私立大学連盟会長、元日本学術会議会員 
 
 日頃より、全国大学体育連合に対し、指導ご支援くださいましてまことに有難うございます。この場をお借りしてあらためて深く感謝申し上げます。
 知・徳・体とよく言われます。もちろん知も徳も大切ですが、忘れてならないのは、体あっての知と徳だ、ということです。「体を育む」ことこそ学びの原点です。プラトンとアリストテレス、法然と親鸞、古今東西の賢人を引くまでもなく、知と徳に優れた誰においても、体あっての知と徳だったはずです。
 国民一般にとっても、体育は我が国の教育において基幹的な位置を占めるべき重要な分野です。また、それを支えリードすべき体育の研究もまた大切な研究分野です。実際、関係者のご尽力により、本連合は日本学術会議の学術団体として認定を受けています。その一方で、授業科目としての体育のみならず、国民一般にわたるスポーツの振興もまた、社会にとって大切な活動です。特に、21世紀の新たな時代に人生を自ら切り拓き世界と切り結ぶ場に出ていく若い世代、さらにはリカレント教育が必要な中堅・シニア世代にとっても、体育は最も基幹的な教科科目、分野だと言って差し支えありません。
 こうしたことを考えると、あらためて大学における「体育の必修化」を考える時期に来ているように思います。大学設置基準が1991年に大綱化され、各大学が保健体育を選択ないし自由科目にしてからすでに四半世紀が経ちました。これからの時代のために、体育の必修化についてもう一度考えるべきときが来ているのではないでしょうか。
 体育の授業を必修にすべき理由は少なくとも三つあると考えます。
 第一に、いまの学生たちの体力と運動能力が落ちていることです。1985年頃と比べると体力は全般的に低く、運動経験が乏しくなったためか運動能力も落ちています。スポーツサークルの参加率も近年では低下しており、体育が必修でない大学の学生の健康が心身両面で懸念されます。
 第二の理由は、体育はコミュニケーションの力を養う教育の一環だということです。高校生、大学生が顔をつきあわせてお互いの気持ちをやりとりする機会は、スマホやSNSの普及とともに明らかに減っています。直接のコミュニケーションは、特に次の点でSNSなどを介したコミュニケーションと異なると考えられます:(1)相手の意図や感情に気づくための情報(表情、声の調子、ジェスチャー、周りの状況など)が豊富に得られる、(2)身体の活動によって感情、思考、言語活動などを支える意識下の活動が活発になる、(3)相手の表情やジェスチャーに共鳴するなど相手に共感する活動が盛んになる(安西『心と脳』岩波新書)。
 さらには、体を動かすことによって、自己管理や社会への感覚も育つでしょう。人間の体の仕組みを知り、それを通して自分と対話する時間にもなります。栄養について学び、食生活を見直すことにもなり、薬物、喫煙の影響を知ることもできます。
 三つ目の理由は、体育やスポーツを通じて大学が社会と関係を持つことにより、地域貢献の世界が大きく広がる点にあります。大学スポーツやスポーツ施設を通じて地域住民の健康づくりやコミュニティ活性化に貢献できます。大学と地域が一緒になって生活や経済の活性化に貢献することは、若年人口の減少が激しい地域の活性化にはもちろん、日本全体の将来を考えても重要です。
 本連合は、地域貢献や産学連携の一環として、ラグビーワールドカップ2019組織委員会、ワールドマスターズゲームズ2021KANSAI組織委員会と連携協定を結びました。特に、開催地域各地の会員大学の取り組みに期待しております。
 また、日本プロゴルフ協会およびゴルフ市場活性化委員会との連携協定に基づき、ゴルフのテキスト作成や指導法の講習をしていただいています。そして、日本ゴルフ用品協会からは、2018年度には12大学に547本のクラブを無償提供いただきました。さらに、日本ゴルフ場経営者協会のご協力により、ゴルフの受講者がコースデビューする機会を提供していただいています。ゴルフ場を地域コミュニティの中に位置づけ、学生にとっても地域住民にとっても身近なスポーツとすることができれば、地域創生の新しい方向を産み出していくことが期待できます。
大学体育を我が国の教育およびスポーツ活動の主要な柱として位置づけていくには、大学体育の関係者が、競技、地域、初中教育の関係者とこれまで以上に連携を取ることが必要です。日々の教育や研究、また組織の仕事や個々の研鑽にご多忙のことと存じますが、時代の大きな転換期、しかも体力と気力が教育の前面に置かれるべき転換期にあって、本連合の活動の発展のため、何卒ご指導ご協力を賜りますよう、あらためてお願い申し上げます。
 会員諸校・諸兄姉、関係者の皆様のご多幸ご活躍を祈念申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。 
 
 
 

専務理事挨拶

 
専務理事 葛西順一専務理事 葛西順一
早稲田大学教授、同応援部部長、同GEC保健体育部門長、日本スポーツ協会全国スポーツ指導者連絡会議幹事長、日本卓球協会元常務理事、日本コーチング学会元副会長
 
 2019年3月18日開催の総会で専務理事に就任しました、葛西順一でございます。
 これまでも、そしてこれからも、安西祐一郎先生には全国大学体育連合会長としてご指導を賜ることになりました。大学体育に対して、常に積極的なご提言を続けていらっしゃる安西先生がリーダーシップをとって下さっていることに心から感謝申し上げます。
小林勝法先生には8年間の長きにわたり専務理事をお務め頂きました。多方面に広くアンテナを張り貴重な情報をご提供頂くとともに、精力的な活動と強いリーダーシップで大学体育連合を率いて下さいました。心から御礼を申し上げる次第です。
 今後に向けましては、北川薫副会長、常務理事、全国各支部長、監事、顧問、会員諸校、賛助会員をはじめとする関係者の皆様と緊密な連携をとり、本連合の目的であります、大学体育の振興、大学生の健康と体力の向上、スポーツ指導者の育成、また、これらの活動を通してのスポーツ文化の向上、さらには、スポーツビジネス社会の形成等に関する積極的な貢献を目指し、微力ではありますが頑張ってまいりたいと存じます。
 2019年度から、大学体育連合は日本学術会議協力学術研究団体として承認され、論文誌である「大学体育スポーツ学研究」が、学術誌として認定されました。今後は、全国の大学教員からより多くの大学指導現場における論文の積極的な投稿が促されるものと期待しております。
機関誌の「大学体育」は、講演会や研修会、各種調査研究報告、総会、理事会の議事録、会員個人や支部からのお知らせなどを掲載し、会員に対する情報提供を行っていきます。
 2013年から開始の「大学体育スポーツ研究フォーラム」は、今後、全国各支部開催予定で、その内容は特別講演、調査報告、一般研究発表(正課授業や課外活動支援に関する研究が中心で、事例発表と研究交流の場)から構成され、より充実した発展が期待されます。
本連合は、スポーツ庁、日本スポーツ協会と歩調を合わせながら、「一般社団法人 大学スポーツ協会」(通称UNIVAS)の創設(2019年3月1日)に関与してきました。今後も、多くの観点において共通認識をもっていると思われることから、相補性と連携性を模索しつつ、是々非々の立場で協力してまいりたいと存じます。
 スポーツ指導者育成は、大学教育におけるカリキュラム改革と連動する部分もあり、アクティブ・ラーニングの導入も含めて展開する必要性を感じており、積極的な施策を検討します。
 最後になりましたが、大学体育が、競技スポーツ・地域スポーツ・初等・中等教育等のスポーツ関係者と密接な連携が必要とされている現状において、従来以上に大学体育連合の充実と発展に対するご支援とご協力をお願いするとともに、関係者の皆様の益々のご活躍とご多幸をお祈りいたしまして、専務理事としての挨拶とさせていただきます。